コーヒーの精製

コーヒーの精製は、実の収穫から生豆が出来上がるまでの工程のことです。精製には、収穫、果肉の処理、乾燥、選別の4つの工程があります。その4つの工程には、様々な方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。


収穫

実の収穫方法は、4種類あります。収穫方法によって、収穫される実の熟度のバラツキと欠点豆の混入率が変わります。

地面に直接しごき落とす方法

大半が熟した時点で枝からチェリーを地面に直接しごき落としてから集める方法です。地面に落ちたチェリーを円形のざるで葉、土、枝等を取り除きます。※チェリーと葉、枝等の混じったものをザルで空中に放り投げ、異物を除去してチェリーだけを集めます。
メリット:コストが安いです。
デメリット:未熟、過熟なチェリー、小枝、小石など異物混入率が非常に高くなります。

シートを敷いてしごき落とす方法

大半が熟した時点で枝からチェリーを地面に敷いたシートの上にしごき落としてから集める方法です。シートに落ちたチェリーを円形のざるで葉、枝等を取り除きます。※チェリーと葉、枝等の混じったものをザルで空中に放り投げ、異物を除去して実だけを集めます。地面に直接落とさないので小石の混入が減ります。
メリット:コストが安いです。
デメリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が高くなります。

一粒ずつ手摘みする方法

完熟したチェリーを一粒ずつ摘み取る方法です。未熟なチェリー、熟しすぎたチェリー、小枝や葉などの異物混入率が1番低い収穫方法です。ただし、収穫するチェリーの熟度はピッカー(収穫する労働者)によります。ピッカーの賃金は収穫量で決まるため、農園の方針が収穫量なのか、完熟で均一に揃えることなのか、収穫されるチェリーの熟度とバラツキ具合は、農園の考え方に大きな影響を受けます。
メリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が低くなります。
デメリット:コストが高いです。

機械で落し集める方法

コーヒーの木の上を跨ぐ大型の機械で、回転する刷毛や振動で枝からチェリーを落とす方法です。落ちやすい完熟のチェリーを集めていますが、熟しすぎたものや未熟でも落ちやすい実は混入します。機械の性能と回転や振動の調整によって、収穫される実の熟度とバラツキ具合が変わります。平坦な地形でのみ可能な方法で利用出来る地域が限られます。
メリット:コストが安いです。※手作業の約1/5
デメリット:機械設備の初期投資が必要です。

果肉の処理

果肉の処理方法は、5種類あります。果肉の処理方法によって、収穫時点での実の熟度のバラツキを抑えたり、欠点豆などの混入している異物を取り除くことが出来きます。

ナチュラル

アンウォッシュトとも呼ばれる方法す。コーヒーチェリーを洗わず、果肉は取り除きません。収穫したコーヒーチェリーは、そのまま果肉が付い状態で天日または天日と機械を併用して乾燥させます。
メリット:作業が単純でコストが安いです。
デメリット:実の熟度のバラツキや欠点豆の混入率は収穫時と変わりません。一般的に欠点豆の混入率は高くなります。
補足:主に低いグレードで行われている精製方法です。ドライチェリー(乾燥させたコーヒーチェリー)を脱穀して、外果皮、果肉、内果皮を取り除くと生豆の完成です。

ウォッシュト

フリーウォッシュトとも呼ばれる方法す。大型の水槽にコーヒーチェリーを入れて、未熟な豆や枝や葉などの異物を取り除きます。その後、パルパー(果肉除去機)にコーヒーチェリーを入れて、果肉を除去します。

果肉を除去したばかりの実(パーチメント)には、表面にミューシレージというヌルヌル(桃の種のまわりの取れにくい果肉ような感じ)が付いています。ミューシレージを取り除きやすくするために、再度、水槽(酵水槽)に10~40時間ほど入れて、最終的に洗い流してきれいに除去します。
メリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が非常に低くなります。豆が本来持っている香味をそのままにに出来ます。
デメリット:作業工程が多く複雑です。品質劣化のリスクがあります。

セミウォッシュ

パルパー(果肉除去機)での果肉除去工程までウォッシュトと同じです。果肉を除去した後のミューシレージを発酵槽を使わずに、遠心分離機やミューシレージリムーバーなどの機械で除去します。
メリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が非常に低くなる。水の使用量が少ない。発酵工程が無い分の品質劣化リスクが減ります。
デメリット:ミューシレージ除去の機械設備の初期投資が必要です。

パルプドナチュラル

パルパー(果肉除去機)での果肉除去工程までウォッシュトと同じです。果肉を除去した後のミューシレージをそのまま除去せずに乾燥工程に進めます。
メリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が非常に低くなる。水の使用量が少ない。発酵工程が無い分の品質劣化リスクが減ります。
デメリット:残したミューシレージの発酵や腐敗のリスクがあります。
補足:残したミューシレージによって独特の香味が形成されます。残すミューシレージ量の調整による良質の香味の形成は研究段階です。

スマトラ式

インドネシアのスマトラ島で行われている製法です。パルプドナチュラルと同じ製法ですが、通常、パーチメントの状態で水分量12%前後まで乾燥させるところ、水分量50%ほどで脱穀して、生豆の状態にしてから本格的に乾燥工程へ進めます。
メリット:未熟、過熟なチェリー、異物混入率が非常に低くなります。水の使用量が少ない。発酵工程が無い分の品質劣化リスクが減ります。
デメリット:水分量が高い状態で脱穀するため生豆が潰れることがある。早い段階で脱穀するので鮮度劣化が速くなるリスクが高くなります。
補足:マンデリンの独特の香味は、品種や土壌以外に、この製法による部分が大きいと考えられています。

乾燥

ナチュラルのチェリー、またはパーチメントを水分量12%前後まで乾燥させる工程です。

天日乾燥

パティオ(乾燥場)にパーチメント(ナチュラルの場合はチェリー)を薄く均一に広げ、太陽光線を利用して乾燥させます。床材は、コンクリートが多く、一部でレンガが使われています。
メリット:天候が良ければ香味が良くなります。
デメリット:攪拌に手間がかかり効率が悪いです。天候に品質が左右されます。不良パーチメントを取り除くことが出来ません。

棚上天日乾燥

アフリカンベットと呼ばれる棚(ネット)の上で天日乾燥します。下から通気が出来るので蒸れにくくなります。床に広げないので乾燥工程での異物の混入がなくなります。
メリット:天候が良ければ香味が良くなります。不良パーチメントを取り除くことが出来ます。
デメリット:設備の初期投資が必要です。

機械乾燥

機械で温風を当てて強制的に乾燥させます。当てる温風の温度や時間の長さで生豆の品質が変化します。温風の温度は低い方が良いと考えられています。
メリット:効率が良い。天候に品質が左右されません。
デメリット:機械設備の初期投資が高い。温度上昇による品質劣化のリスクがあります。

天日乾燥と機械乾燥の併用

パティオ(乾燥場)で天日乾燥した後に機械で温風を当てて強制的に乾燥させます。
メリット:天日と機械を併用すると乾燥工程で生豆が割れにくくなります。
デメリット:作業工程が多くなります。

選別

生豆から欠点豆や異物を取り除く為、また、等級分類するための重要な工程です。

風力選別

風力によって生豆より軽いものを除去します。

スクリーン選別

ふるいで豆の大きさで選別します。等級分類では、外見で判断しているのでサイズの大きい生豆の評価が高いです。大粒だから香りや味が良いということはありません。

比重選別

振動式の機械で重いもの軽いものを分けます。重いものが良質の生豆です。

電子選別

レーザーで色を識別して、指定した色以外の生豆を除去します。

ハンドピック

主に最終工程で行われ、人が手作業で欠点豆を除去します。

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